汗の役割
- 保湿;皮膚の水分量を保ち、うるおいを与える
- 免疫;汗に含まれる物質が、細菌などから皮膚を守る
- 体温調節;体の熱を発散させ、体温を下げる
汗とアトピー性皮膚炎
今まで汗をかくことがアトピー性皮膚炎を悪化させる原因の一つと考えられてきました。しかし最近では、汗をかく量が少ないことがアトピー性皮膚炎を悪化させる原因の一つになり得ると言われています。実際アトピー性皮膚炎の患者さんは、汗の量が少なく、汗が出るまでに時間がかかる特徴が認められます。汗をかく機能が低下しているため、汗本来の役割が十分に発揮されないことが症状の悪化につながると考えられます。すなわち、汗をかく習慣をつけることで、汗がもっている体に良い働き(保湿、免疫、体温調節)により、アトピー性皮膚炎が悪化しにくい皮膚になります。
汗をかいた後の対策
汗をたくさんかいたあと、そのまま放置しておくとアトピー性皮膚炎の症状が悪化することがあります。汗をかいたら、おしぼりなどで汗を拭きとったりシャワーや流水で汗を洗い流し、衣服を着替えることが重要です。汗を洗い流した後は、保湿剤でスキンケアをしましょう。保湿剤を塗ることで皮膚の保水機能(汗によって与えられたうるおい)を高める効果があります。
日常生活で汗をかくための工夫
- 入浴をする皮膚のバリア機能を回復するための適切な温度は36℃から40℃と言われています。入浴なら38℃から40℃までがよいと思われます。せっけんを使うときは、よく泡立てて、手でやさしく洗い、そのあと十分に洗い流しましょう。
- かるい運動からはじめるいきなり激しい運動をするのではなく、軽い運動でゆっくりと汗をかくことからはじめてみましょう。
- 日常生活を見直す通園、通学などをできるだけ徒歩にする。エアコンを過度な温度設定にしない。28℃設定にして少し汗をかく程度にする。