舌下免疫療法(スギ花粉、ダニ)について

2023-10-08

舌下免疫療法とは?

舌下免疫療法とは「アレルゲン免疫療法」のひとつで、アレルギーの原因となるアレルゲンを含む治療薬を投与し、体を徐々にアレルゲンに慣らすことによって症状を和らげる治療法です。                                                   現在舌下免疫療法の対象となっているアレルゲンは、スギ花粉とダニのみです。ヒノキなど他のアレルゲンによるアレルギー症状は、今のところ舌下免疫療法の対象ではありません。                           アレルゲン免疫療法そのものは100年以上前から行われており、以前は皮下免疫療法とよばれる注射による治療が一般的でした。                                                            2014年からスギ花粉症、2015年からダニアレルギー性鼻炎に対する安全で手軽な治療薬が発売され、舌の下に置く舌下免疫療法が現在は主流となっています。多くの方のつらいアレルギー症状に効果を発揮し、症状を和らげる目的の薬物療法とは違い完治の可能性がある治療法です。                  舌下免疫療法は、どこの医療機関でも受けられるというわけではありません。舌下免疫療法の治療薬を処方するために医師は専門の講習を受講しなければなりません。医師が講習を受けていない場合には治療薬の処方ができず、舌下免疫療法は行えません。

当院では舌下免疫療法をおこなっています。ぜひお気軽にご相談ください。

舌下免疫療法の治療についてのQ&A

#舌下免疫療法の対象となる人は?

舌下免疫療法の対象は「スギ花粉症」もしくは「ダニアレルギー性鼻炎」の患者さんです。               診察の際に検査を行い、スギ花粉症またはダニアレルギー性鼻炎であると確定診断を受けた上で治療は開始されます。                                                            また、どちらか片方だけでなく、いずれの症状がある場合にも治療は可能です。

舌下免疫療法に注意が必要な方

スギ花粉症やダニアレルギー性鼻炎であっても、舌下免疫療法を受けられない患者さんもいます。重い気管支喘息をお持ちの方や、がんや免疫系の病気がある方、免疫不全の病気をお持ちの方、妊娠中の方などは治療の適応外です。                                                     その他にも以下のような方はあらかじめ医師に相談しておくことをおすすめします。

  • アレルゲン免疫療法の治療でアレルギー症状を引き起こしたことがある
  • 気管支喘息がある
  • 授乳中である
  • 重度の心疾患や肺疾患、高血圧がある
  • 他のアレルゲンに対しても反応性が高い

#舌下免疫療法は何歳から受けられますか?

花粉症や鼻炎などのアレルギー疾患の発症年齢が低下しており、子どもがつらい症状に悩むケースも増えています。以前の治療薬は12歳以上が適応でしたが、2018年に11歳以下でも可能な治療薬が発売となりました。服用しやすい即溶性錠剤で、子どもでも比較的簡単に服用が可能です。口の中で溶ける薬ですので1分間唾液を飲むのが我慢できる年齢、大体5、6歳くらいから治療ができると考えられています。

#舌下免疫療法の流れは?

シダキュアを用いたスギ花粉症の治療の流れですが、ダニアレルギーの場合も基本的に同じになります。舌下免疫療法をお考えの方は、下記をご確認ください。

1.初回の診察

初回の診察では問診や血液検査(アレルギー検査)などを行います。                              診療時間内にお電話で予約をお願いします。                                             アレルギー検査の結果を医師が確認し、舌下免疫療法が可能だと判断された場合においてのみ、治療が開始されます。

2.診察・アレルゲン初回投与

初回の診察から1~4週間後に再度受診し、同意書の記入を確認し、医師の指導のもとで治療薬の初回投与を行います。投与後30分は病院内で安静に過ごします。体調などに変化がないことを確認した上で、診察は終了です。

3.自宅での服用

初回の治療薬投与に問題がなければ、翌日から自宅での服用を開始します。1日1回、舌の下に薬剤を置き、1~2分したら飲み込みます。投与後5分間は、うがいや飲食を避けてください。

1週間後に再診して頂きます。

4.増量

1~7日目はアレルゲンの量が少ない薬を投与し、8日目以降は1週目よりもアレルゲンの量を増やして投与します。

5.維持

15日目以降、特に副反応の問題がなければ、同量のアレルゲン投与を毎日続けます。舌の下に薬を置き、1~2分して飲み込んでいただきます。投与後の5分を過ぎるまではうがいや飲食は控えるという投与方法は変わりません。

6.定期的な受診

月に一回定期的に受診し、副作用などがないか確認しながら治療を進めていきます。

#舌下免疫療法の開始時期は?

安全に治療を行なうために、スギ花粉の飛散する前後に舌下免疫療法を開始できません。1月から5月は治療を開始できない時期と考えてください。 また、スギ花粉の飛散が始まる3ヶ月以上前から治療を開始すると効果的ですので、遅くとも11月末までに治療を開始した方がよいと思われます。

#舌下免疫療法にかかる期間は?

舌下免疫療法は基本的には3年を目処として治療を行います。

毎日忘れず治療薬を服用する必要があるため、根気強く続けることが重要です。                       ただ、舌下免疫療法は治療期間が長いほど、効果を発揮できるともいわれています。                         最初の1年よりも2年目、2年目よりも3年目といった具合に、体の免疫機能が高まるためと考えられています。続けることでより高い効果が期待できるため、1~2年ほどで効果が感じられないからとやめるのではなく、長く治療を行うのがおすすめです。場合によっては3年以上継続することで、長期的な効果も期待できます。

#舌下免疫療法に期待できる効果、いつからあらわれる?

上で述べたように、舌下免疫療法は約3年かけて行う治療です。したがって必ずしも治療をはじめてすぐに効果が感じられるとは限りません。初年度で効果を感じられる方もいらっしゃいますが、数ヵ月後や2~3年後など効果が出るタイミングは人それぞれです。                                    そのため、焦らずに治療を続けることが何よりも重要です。

舌下免疫療法に期待できる効果

  • 症状を和らげ、改善
  • 治療薬の減量
  • QOL(生活の質)の改善
  • 根治の可能性もある

小児は成人に比べて治療効果が高いといわれています。

#副作用があらわれることがある

舌下免疫療法では副作用があらわれる場合もあります。

アレルゲン(ダニやスギ花粉そのもの)が配合された薬を服用するため、アレルギーをもつ患者さんへ投与すると、副作用(副反応)としてアレルギー反応が起こる可能性があります。                     従来行われていた皮下免疫療法に比べると格段に安全だとされています。

治療にともなって起こりやすい副反応は以下の通りです。

  • 口内炎
  • 舌の腫れ
  • 口の中の腫れやかゆみ、不快感
  • 唇の腫れ
  • のどのかゆみや刺激感、不快感
  • みみの痒み

これらの副反応は起こったとしても自然に軽快するもので軽微な症状と思われます。

非常にまれですが、アナフィラキシーショックとよばれる急性の過敏反応を引き起こす可能性があります。引き起こされる反応は蕁麻疹やおう吐などの消化器症状、咳や呼吸困難などの呼吸器症状、意識混濁などです。万が一このような状況になった場合には救急車を呼び、できるだけ早く病院で対処してもらうことが非常に重要です。

 

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